なりなろぶ。

人生は一度きり。なりたい自分になろう。

父そして母

私には父と母がいる。まだ健在だ。

私が18歳まで過ごした実家でまだ二人、仲良く生活している。

父は70代後半だというのにまだ仕事をしている。おそらくいまだに私よりも忙しい毎日を送っていると思うけれど、父は母のことが大好きで、出張などで長く家を空けることがあっても毎晩母に電話をかけてくるそうだ。母は「別にかけてこなくてもいいのに」なんて言ってるけれど、私はそんな父が何とも可愛らしく思う。

ここ何年か、父に少し時間の余裕がでてきたようで、二人で出かけることが多くなった。もともと父は国内・海外問わずどこかへ行くことが大好きな人だ。先日も母から電話があって、「どこかいいホテルがないかしら。パパが行きたいって言ってるのよ」なんて私に控えめに聞いてくる。

私がどうせ提案しても、好みがうるさい二人だから提案損(こんな言葉あるのかしら)だと思いさらっと受け流して電話を切った。

でも次の日、出勤しながらふと。今日もし万が一、父と母に何かがあったら。もう二度と会うことが叶わなくなったとしたら。私は人生最大の後悔を背負うことになるだろう。

父も母も、自分たちの親をとても大切にしていた。父は忙しい毎日の中、時間ができたら車で3時間の道のりを日帰りで祖父や祖母(父の両親)によく会いに行っていた。母の実家はとても遠かったので頻繁に会いに行くことはできなかったけれど、その代わりに年に1回、兄弟を集めて祖父母をいろいろなところに連れていった。

きっと。自分たちはあんなに親孝行をしたのに、親不孝な娘(本当に私は親不孝だ)は何もしてくれない、ホテルくらい探してくれてもいいのに、くらいは思っているかもしれない。

だから、というわけではないけれど。どこか両親の気に入りそうなホテルを探してみよう。探しても見つからなかったら別にそれでもいいのだから。

親孝行したいときに親はもういない、なんてことはできるだけしたくない。小さな感謝の言葉でもいい、ずいぶん遅くなってしまったけれどこれからでも伝えていきたいと急に思った。